深山知子一級建築士事務所・レトノ 深山知子一級建築士事務所・レトノ

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2021.2.2

朝の光

今住宅に求められているのは、潜在的な居心地の良さだと感じています。それは私たちが住む物質界において相対的な幸福感ではなく、絶対的な幸福感に満たされることです。潜在的な居心地の良さを満たす為には、様々なエッセンスを空間に散りばめ、心を動かすことが大切だと考えています。例えばダイニングにおいて、光や景色を使うことです。人は無意識に光の方向に目を向けてしまうという習性があります。トップライトやハイサイドライトのような上からの光によって、自然と目線が上に向き見上げてしまうという行為を引き出します。この上を向くという行為は、前向きな気持ちをつくってくれます。このことはヨガのポーズにも見てとれます。力強い戦士のポーズは顔を上に上げることで、前向きな気持ちになることから、朝に行うと良いと言われています。私たちは毎日のようにパソコンやスマホを見る為下を向くことが多く、日常あまり見上げるという行為をしなくなっています。

朝のダイニングで行われるこの見上げるという些細な行為が、その日一日の気分を決定する大切なエッセンスとなります。そしてもう一つ見上げるという行為と同じぐらい大切なことは、朝一番、目に映る景色です。朝の清々しい光に照らされる緑を眺め、風を感じながらの朝食は、更に気持ちを高めてくれます。景色の切り取り方には、開口部に様々な工夫を施し、それによって生まれる陰影や内外の繋がりなどがあります。また、ダイニングとキッチン、リビングなどの距離感、気積なども検討します。それらに関しては機会があればいずれ書きたいと思います。