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自然との一体感

自然との一体感を得ようと思うと様々な要素がありますが、その中でも緑との距離感がとても重要になります。緑をなるべく窓際に配置することで、窓を開ければすぐ触れられるようになり、緑の些細な変化までを感じさせてくれます。また、方位を考慮し窓際の近くに緑を配置することで、緑の影が室内の奥深くまで入り込み、その影を楽しむことや、その影のゆらぎによって、外に吹いているわずかな風を感じます。このように、緑との距離が近いほど小さな気づきを感じやすくなり、自然との一体感を得られます。また、緑の存在を際立たせる工夫も大切だと思っています。リビング・ダイニングの開口部においては、木製サッシなどの有機的なものを感じるものを使うことで、その存在感を外部と馴染ませています。また素材選定、空間構成、開口部の設えを考え室内に陰影をつくることで、外の明るさとの対比が生まれ緑が、より生き生きと見えてきます。このように私は居心地のよさとは、自然との一体感からくるものだと考えています。今後も建築に求められる居心地の良さを感じられることを、より多くみつけていきたいと思っています。

 

暖かな光と猫

私たちの身近にある光は、居心地の良さを左右する大切な要素です。住宅において光の取り入れ方には、反射光や直射光などあります。壁に反射させる反射光や北側の光は、光で満たしていても温度を感じにくく、居心地が良くなるとは限りません。東側から入る清々しい朝の光や南側から入る正午の暖かな光、そのような直射光は、居心地の良さを創り出してくれます。ペットを観察しているとそれらが分かります。いつどこの場所が居心地が良いのか、自我を持たない動物は、純粋に居心地の良さを求め移動しますので、彼らが教えくれます。

 

量子力学・意志 

量子力学とは、ミクロの世界の物理現象を扱い不確定要素が成立する学問です。この現象を表す有名な実験として、粒子と波動の二重性を示す二重スリット実験があります。この本では、「電子にも意志があるとしたらどうしますか?」という投げかけから始まっています。私たちが見えているマクロの世界は、見えていないミクロの世界で成り立っています。そうなるとマクロの世界にある意志というものが、どの時点で生まれてくるのかという疑問が生じます。ここでは、量子力学が唱える不確定原理が、最初から意志を持て現象として表れていると書かれています。最後のまとめとして、次のようなことが書かれていました。「新しい文化は量子力学論的文化であり、対話原理を基調とする対話する文化である。電子が対話し、タンパク質が対話し、細胞が対話し、木々が対話し、人々が対話し、宇宙が対話する文化である」この本を最後まで読み終えると、森羅万象、すべての物において分子レベルで意志が存在しているようです。とても興味深く感動を覚える内容でした。

 

 

量子力学の世界 

量子力学に興味があり関連書を何冊か読みました。量子力学の始まりは19世紀末で、ここ近年量子論として確立されてきました。アインシュタインが唱えた相対性理論のような古典物理学のマクロの世界から量子力学の扱うミクロの世界が注目され始めています。量子の世界では、量子テレポーテーションや量子もつれなどの摩訶不思議な現象が起こっています。私たちが見ているマクロの世界では、起こるはずのない現象です。量子のことを知れば知るほど目に見えていることが、すべてではないことがわかります。人間の意識も顕在意識と潜在意識がありその割合は1対9です。私たちは、1割の顕在意識で生きているように見えますが実は、目に見えていない9割の潜在意識の方で生きています。今は、マクロの古典物理学とミクロの量子力学が分かれていますが、いずれこの二つの理論が統一される新たなる理論がでてくるはずです。その時には、心、意識の正体がその統一論を持って明かされるのではないかと思います。そして、現在は切り離されている精神論、哲学と物理学が一緒になり新たなる幸福論がでてくるのではないかと思います。

 

 

朝の光とダイニング

私は朝どのような景色を見て何を感じるかは、とても重要だと考えています。なぜならそれによって、その日一日の気分が変ってくることを体験しているからです。例えば、旅先での楽しみの一つである朝食は、朝の清々しい光を呼び込むダイニングで過ごすことで、前向きな気分で始まります。このことを考えると、毎朝食事をとるダイニングの役割はとても大きいと思います。住宅の設計では、一般的に南側に開口を設けリビングやダイニングを配置することが多いですが、この敷地ではダイニングを東側に配置し、緑やバードバスのあるテラスを設けました。朝の光と共に見る景色や緑から感じる生命力によって、気分が高揚し、きっと今日が活力あふれる一日となると思います。このような毎日の積み重ねこそが、明日や未来への人生の幸福度、満足度に繋がっていくのだと信じています。

 

 

その遺伝子のもたらすもの

先日「六本木ヒルズ・森美術館15周年記念展 建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの」を見学して来ました。同展では、古代からの伝統を礎としながら、独創的な発想と表現を内包している日本の建築に着目し、木造文化や固有の美学、西洋から見た魅力など、日本建築の特性をテーマに9つのセクションで編成してありました。

01 可能性としての木造

02 超越する美学

03 安らかなる屋根

04 建築としての工芸

05 連なる空間

06 開かれた折衷

07 集まって生きる形

08 発見された日本

09 共生する自然

古代から現代まで脈々と潜む日本建築の「遺伝子」について考察していく内容です。貴重な建築資料や模型など400点を超える展示物があり、千利休作の茶室、国宝《待庵》を原寸で再現、昔の丹下健三の自邸を1/3スケールで再現した巨大模型、ライゾマティクス・アーキテクチャーが最新技術で再現する日本建築のスケールを3Dで体感などが見どころです。日本建築の美学をベースとし、現代の建築にどのような表現としてあらわれてきているのか、それを感じることができた展覧会でした。

 

 

ささやく物質・かたる物質

2018年3月3日~5月6日まで東京ステーションギャラリーで「くまのもの 隈研吾とささやく物質、かたる物質」が開催されていました。本展では竹、木、紙、土、石、火、金属、幕/繊維という10種類の物質で分け、それぞれの作品の模型や写真が展示されていました。物質のもつ質感、匂いまでも感じることができる構成です。竹のコーナーでは、オジェがあり竹のしなやかさが波を連想させてくれます。また「石」の展示室では、石に隙間を開けながら積むことで物質の重さではなく、反して軽さを感じます。「木」の展示室では、小さめの部材を大量に組み合わせ多彩な形態を創り出しています。様々な物質がこれまでにない形状に変化し、物質の放つ風合いを残しながらも持っている特性をさらに進化させた建築になっています。物質の使い方には、無限の可能性があることを強く感じました。『もう一度、様々な物質と、いきいきとした会話をはじめよう 。』このメッセージを五感で感じとることができた、とても魅力ある建築展となっていました。

 

 

太陽の塔

岡本太郎記念館は、岡本太郎氏が亡くなるまでの40年以上の間、住宅兼アトリエとして使用されていた建物を1998年に記念館として開館しました。この記念館は、岡本太郎氏が暮らした当時そのままを見学できます。設計は、坂倉準三氏でコンクリートブロックを積んだ壁、鉄筋コンクリート柱・その上にR状の屋根をのせるスキンストレス(応用外皮構造)を採用しています。アトリエには「太陽の塔」の制作途中のモニュメントや内部の模型がありました。今年3月には、大阪にある「太陽の塔」の内部が修復され展示施設に再生されています。1970年・日本万国博覧会のシンボルモニュメントとなった「太陽の塔」は、高さ70メートルあり建築家・丹下健三氏が設計した、テーマ館の大きな屋根を突き抜ける形で設置されました。未来に向かう生命力の象徴と考え制作され、内部にはマンモスやアンモナイト・単細胞生物の模型が飾られています。進化の頂点に人類がいるとは考えていなかった岡本太郎氏は、人類を小さく展示し、本質的な生命のあり方を古代生物に求めたと言われています。人類も自然、宇宙の一部でありそれらの生物と同列と考えいたのだと思います。48年後の今、修復・再生された「太陽の塔」をいつか訪れた時に岡本太郎氏が問いかけたメッセージを感じ取り、今後の仕事に反映させていきたい考えています。

 

桜並木

昨年夏に完成した住宅です。この桜並木が見えるロケーションをとても気に入られて、建築されました。今年はとても早く桜が満開になりました。川を挟んで桜並木が広がり、平日にもかかわらず写真を撮っている人が何人かいました。お施主様は、週末に桜を眺めながらバーベキューをしたそうです。春の気持ち良い風や草花など季節ごとに変わりゆく景色が、暮らしを豊かにし心を癒してくれているのだと改めて感じました。

 

 

二世帯住宅

小矢部市の山間部で二世帯住宅を設計する機会がありました。計画地は、もともと親世帯が住んでおり今まで離れて暮らしてきた子世帯が、ここで一緒に暮らすことを選択されました。設計を描く上で住宅に求められる快適さや居心地の良さを追求しながら、それと同時に二世帯住宅が抱える課題を解決する必要がありました。それは、親世帯が培ってきた近隣コミニュティの継続と親子間の良好な関係です。具体的な解決方法として、親世帯のキッチン・ダイニングの北面に大きな窓を設けました。窓とは採光や換気、景色を取り入れることが目的なのですが、ここでの窓の取扱いは、近隣へのコミニュティの意思表示です。この窓からは、近隣住人が行き交う姿が眺められたり、あるいは窓越から会話することが出来ます。昔から培ってきた近隣コミニュティを維持していく為にとても大切な役割を担っています。一方、親子間の良好な関係を築く為には、程よい距離感が必要になってきます。設計の中で程よい距離感という曖昧さを持つものを数値化し、図面に落とすことは大変な作業です。なぜなら、曖昧さを数値化するには、経験から得た感覚と俯瞰してみることが出来る客観性が必要だからです。これらのことを踏まえ、この二世帯住宅のリビング間は、中庭を挟み6mとしました。空間どうしの幅や高さ、窓の位置や大きさなど総合的に判断し、お互いの存在感を感じない距離を数値化した結果です。数値化することは、建築にとって大切なことであり、情緒的な感情論ではなく理論的な考え方を用いていかなければなりません。そのことによって、この二世帯住宅が抱える課題である近隣コミニュティや親子関係が、良好に維持されていくのだと考えています。