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植物の世界・知性

植物は人間にとって美しさや癒しなどを与えてくれますが、それ以上のものを植物は持っているのではないかと思い学ぶうちに違う側面を見ることが出来ました。
植物は、捕食者(昆虫、草食動物)から逃げ出すことのできない環境で生き残る為に独自の進化を遂げてきました。人間と同じような五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)を持ち、さらに15の感覚を持ち、重力を感知する能力や磁場を感じる能力、空気中や地中に含まれる物質を感知する能力などです。また植物はコミュニケーション能力もあると言われており、例えばトマトは、虫に襲われると科学物質を放出して周囲の仲間に危険を知らせます。世界最大級の花を咲かせるショクダイオオコンニャクは、クロバエを花粉の配達人に選び、クロバエの大好きな腐った動物の死骸の臭いを完全にコピーします。こんな臭いにおいさえも植物は真似出来るのです。このように植物は、相手を巧みに操ることのできる並外れた能力を持っています。これらの事実を知ると植物は、人間よりも高度な知性を持つ生命体であることが分かります。
植物は人間の生活になくてはならない存在であり、石油、石炭、天然ガスといった再生不可能なエネルギー資源となっています。また現代医療で使われる薬の有効成分の大半が植物由来のものです。
私がこれまで感じてきた植物への認識は、情緒的であり感性的な部分が多かったのですが、このような事実は私の意識を大きく変えてくれました。道端の雑草や人が介入した観葉植物、大自然の木々などすべての植物において、今までと同じ目線では見られなくなりました。

 

川沿いのカフェ

郊外にある川沿いの自然豊かな場所にカフェの依頼があり完成しました。この土地は川沿い特有の温度差から生まれる風の流れや、無常観に情緒的な魅力を感じ一年以上かけて施主様が探された土地です。フィルム写真を趣味としている施主様が撮影した作品や、写真家として活動されている方々の作品を展示するギャラリースペースを併設しています。カフェの席数は12席で、(カウンター6席、テーブル6席)カウンター席からは川が見え、テーブル席からは中庭が見えます。カウンター席に座って見える景色は、深い軒先や大開口により遠景を近景にし、室内に取り込んでいます。また、テーブル席にある中庭の緑は、生命エネルギーをより感じられるように出来るだけ近くに配置しています。カフェには人と人との交流や、オーナ様との交流など様々な場面が展開されていて、より深い交流をするために建物を使って潜在意識に働きかけることを考えました。ここで言う深い交流とは、潜在意識レベルで理解しあえることです。建物には、光による陰影・そしてその陰影がもたらす静謐さ、緑の持つ知性、自然素材が放つ安心感、それを人間の顕在意識の領域である五感を超えて潜在意識に働きかけるようにしています。
私たち人間や植物、鉱物などあらゆるすべてのものはエネルギー体であり、トーラス状のエネルギーフィールドを持っています。このトーラス状の波がそれらと共鳴することで、第六感、第七感の潜在意識に繋がっていきます。訪れた人達が、この建物に散りばめられたエッセンスを潜在意識の中で感じ取り、エネルギーの共鳴が起こって個を超えた先にある集合意識を感じられるのではないかと思っています。これからの宇宙時代を生きる私達が、目指す一元論的な調和の世界を垣間見れるのではないかと期待しています。

 

「建築が人にはたらきかけること」藤森照信著

以前ブログで紹介した建築家、藤森氏の半生や独自の建築、文明観が書かれた本が出版されました。本の題名は「建築が人にはたらきかけること」内容は、建築を生む力は神様が言葉のような実用を超えたところにある。村の信仰に守られた少年時代から今日まで。建築界の快人・藤森照信はいかにして成ったか、が書かれています。藤森氏は長野県の茅野市生まれ、この地は御柱祭りで有名な諏訪大社があります。全国諏訪神社総本社であり国内にあるもっとも古い神社の一つとされています。諏訪大社の特徴は、本殿と言われる建物がありません。代りに秋宮は一位の木を春宮は杉の木をご神木とし、上社は御山を御神体として拝しています。日本人が古くから行ってきた自然崇拝が、この地では今も根付いています。この地で育った藤森氏にとって、この環境が大きく建築の考え方の根底に影響を及ぼしています。本を読み進めると、以前訪れた神長宮守矢資料館のことが書かれていて、とても興味深い内容でした。藤森氏は守矢家が持っている貴重な古文書を収蔵する為の建物を、茅野市から相談を受けて計画が始まります。「この土地の歴史や風土をよく理解してつくらなければ神様に失礼にあたる。山の裾に広がる故郷の景色の中にモダニズム建築が建っているさまを見たくない。どう考えればいいかわかりませんでした。伝統的な民家は基本的にはやりたくない。民家の形式もそんなに古いものではないからです。でも最初は民家っぽいものを考えていました。」(本より一部抜粋)この土地の歴史や風土とは何かを調べていくと、諏訪は縄文文化の中心地でもありました。また神長宮守矢資料館に展示してある鹿の首などは、御頭祭によって捧げられたもので、この祭りは旧約聖書の中に類似点があり深い関係が垣間見れます。まさにこの地は自然を神とし、神と共に生きてきた歴史があることが分かります。この地には、精霊のようなエネルギー体であふれています。藤森氏は縄文人が見ていたであろう原風景を理解、分解、再構築し、ご神体である守屋山の精霊に応えるように設計をされたのではないかと思います。この本にはタンポポハウスなどその他多くの建築についても書かれており、この本を通じて藤森氏の建築になぜ私が惹かれるのかが、わかったような気がしました。

 

宇宙観

スリランカの建築は、自然との一体感を感じられるものが数多くあります。世界には自然との調和を考えた建築が沢山ありますが、スリランカの建築には、単純な癒しや感傷に浸るだけではない、何か深淵なるものを感じます。それは、スリランカという国のベースにある伝統医学(アーユルヴェーダ)の考える宇宙観が、建築に反映されていからではないかと考えています。スリランカで盛んなアーユルヴェーダとは心、体、行動や環境を含めた全体としての調和が、健康にとって重要とみる伝統医学のことです。そして医学のみならず、生活の知恵、生命科学、哲学の概念も含んでおり、病気の治療と予防だけでなく、より善い人生を目指すものであるとも言われ、健康の維持・増進や若返り、さらには幸福な人生、不幸な人生とは何かまで追求しています。
今から迎える宇宙時代にとっては、アーユルヴェーダのような伝統的な宇宙観がとても大切だと感じています。そして私が興味を持っている宇宙学(宇宙空間すなわち地球の大気圏外の空間領域を研究する学問の総称)は、地球の大気圏外に出ることで物理法則から外れて行き、意識の拡大が起こり次元を超えて行きます。高次になればなるほど大気圏内で感じられた五感を超えて六感、七感と言われるエネルギー領域に入っていきます。そこにはアーユルヴェーダの宇宙観と、宇宙学との共通点を沢山見出すことが出来ます。私は今まで過去の経験や、様々な建物を見た経験から居心地の良さとは何なのか、人にとって良いと思える普遍的な空間とはどのようなものなのか、ということを考えてきました。 しかしこれからは、今までのような大気圏内にある五感を通しての思考で物事を捉えるのではなく、大気圏外にある五感以降のエネルギー体を感じ取ることが出来る領域(ハート)を使うことで新しい建築の可能性が広がるのではないかと考えています。

 

CAFÉ KITSUNÉ

フランスのファッションブランド「Maison Kitsuné(メゾンキツネ)」が手掛けるカフェ「CAFÉ KITSUNÉ(カフェキツネ)」青山店が、昨年末にオープンしました。格子状の天井や伝統的なデザインの建具、竹、畳、土壁など、日本古来より使用されてきた温かみのある素材をベースに、モダンな照明器具や大理石などを加えることで日本的な雰囲気ながらもモダンな空間となっていました。窓辺には距離感の近い竹があり緑を近くに感じられました。そして、音楽やインテリアなどが加わることで洗練された印象を持ちました。店舗だからこそ必要になってくる音楽やインテリアや使用される食器などが、人の持つ気持ちを高めてくれることを改めて感じました。

 

長者ヶ原遺跡

糸魚川市にある長者ケ原遺跡は、東京ドーム約3個分、13.6ヘクタールもの面積を持つ国の文化遺産です。長者ヶ原遺跡の中央に広がる縄文時代中期(5,000~3,500年前)の大きな集落跡は、ヒスイの玉や蛇紋岩の石斧の生産・交易拠点としても知られています。遺跡公園には、竪穴住居や太い柱が用いられた八畳ほどの掘立柱建物などが復元されています。原始的な建物にも関わらず文明的な社会を経験している私たちが、それらを見て美しいと感じるのは、そこに何かしらの次元を超えた精神性や霊性を感じるからなのでしょう。民俗学的な見解では、「柱」とは、天と地を繋ぎ神が降りてくるという意味を持つと言われています。掘立柱建物で見た太い柱はとても意味のあるもので、縄文人は常に生活の中心に神や自然や宇宙との繋がりをおいていたことが分かります。このように理想的な生き方を文明社会で生きている私たちがすることで、今までの文明と自然との分離ではなく、統合された一元の世界に戻ることが出来ると思いました。

 

とらや・赤坂店

「とらや・赤坂店」は、扇形の敷地に合わせ設計された為、扇形の独特の形をした建物です。赤坂見附駅から徒歩約7分、目の前には赤坂御用地があり、緑を望める豊かな場所に建てられています。この建物を設計されたのは「とらや・ 東京ミッドタウン店」「とらや・京都一条店」等を手掛けた建築家の内藤廣氏です。内藤廣氏は「簡素にして高雅」を念頭に置いて設計をされたとのことです。階段、天井、壁にふんだんに使われた檜、黒漆喰、格子などが日本の美を感じさせてくれます。 地下1階、地上3階建ての建物で地下1階には、和菓子や日本文化を発信する為のギャラリー・イベントスペースとなっています。2階は和菓子の売り場となっていて3階には、菓子製造場「御用場」とカフェ「虎屋菓寮」が併設しています。 テラス席で酒饅頭を頂きましたが、酒の独特の風味と上質なしっかりとした甘さがありながらも、後味がすっきりとしていてとても美味しかったです。

 

明治神宮ミュージアム

明治神宮の南参道に明治天皇と昭憲皇太后のゆかりの品々を展示する、明治神宮ミュージアムが10月26日に開館しました。設計を手掛けたのは、世界的に有名な建築家の隈研吾氏です。日本の伝統的な数寄屋とモダンを合わ持った雰囲気で、建物全体が低く抑えられていて緑の景観によく溶け込んでいました。
開口部のL字型、ハイサイドの設け方、2Fのはね出し方や開口などで緑を三次元的に捉え、その存在を立体的に浮かび上がらせ際立たせていました。そして、その効果によって緑をより近くに感じることを体感できました。 これまでに私が緑との一体感を得るために考えてきた手法とは異なる手法が、発見できとても貴重な経験となりました。

 

ロイズ・アンティークス青山

ロイズ・アンティークスは、東京のアンティークショップの中でも老舗的な存在です。1988年オープンして以来、全国に8店舗あります。伝統的な英国アンティーク家具を中心に様々な時代のものが置いてあります。重厚でありデコレイティブなマホガニー家具や合板や金属素材を用いたデザイン性の高いアイテム、ニーズに合わせたオーダーメイド可能な家具まで幅広く扱っています。
現在、設計している住宅に合う家具をいくつか見つけてきました。伝統的な英国の家具と和モダンな雰囲気の住宅にどのようなマッチしていくのかとても楽しみです。

 

中間領域

先日、「建築知識」という建築専門誌の取材を受け、中間領域についてお話しをさせて頂きました。取材者の方から全国の建築家の方々の中間領域に対する考え方や設計方法を聞くこともできて、とても参考になりました。広く自然が豊かな敷地と街中の狭い敷地とでは、全く異なる作り方をしなければならないこと。その為には、縁側、軒、土間、大屋根、分棟、螺旋など様々な組み合わせを考えなければならないことなど気付きがありました。
取材の最後に一枚の写真を見て頂きました。以前私が設計したフレーム効果を利用し、格子や土間との組み合わせによって、外を内に呼び込むと考えた住宅の写真です。取材者の方から、「子供の頃に手で双眼鏡をつくり遠くを眺めたことをやりましたが、あれと同じ効果ですか?」と聞かれました。そういえば私も小学生の頃によくやっていたことを思い出し懐かしく思いました。とても有意義な時間を過ごせました。