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谷村美術館

谷村美術館は、私が高校二年生の時にモノクロの写真を見て衝撃を受けた建築物です。1983年に開館、設計は建築界の巨匠、村野藤吾氏最晩年の作品で、日本最高峰の木彫芸術家、澤田政廣氏の仏像「金剛王菩薩」「光明佛身」「彌勒菩薩」等10点を展示した美術館です。当時、私の身の回りにある建築物とは全く異なる様相をしていたことに驚きました。そして建築や建築史を学ぶにつれて、それが建築物の原点であることを知りました。谷村美術館は、荒涼とした砂漠の中の遺跡のイメージで設計されていて内部空間は、光の取り入れ方を工夫し洞窟のようなイメージで作られていました。私たちは、XYZ軸という三次元的(床壁天井)な分離された建築物に慣れ過ぎてしまっているので、この建築物のようなそれぞれの境界が消された空間を見ると、何となく物理次元の法則を超えたものを感じ、心が高まります。建築物は一般的に大きな開口を設けて開放感を得たり、壁の量や天井の高さを調整して内包感を感じさせていますが、この建築物はこのように、今までの建築物で語られてきた開放感や内包感とは全く違う次元にあり、壮大な広がりを感じられずにはいられません。この建築物は、意図的に意識の拡大を導く為に作られているように感じました。実際にこの建築物の中にいると、優しく包まれた感覚を持ちえながらも宇宙的膨張を感じる不思議な体験をしました。