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二世帯住宅

小矢部市の山間部で二世帯住宅を設計する機会がありました。計画地は、もともと親世帯が住んでおり今まで離れて暮らしてきた子世帯が、ここで一緒に暮らすことを選択されました。設計を描く上で住宅に求められる快適さや居心地の良さを追求しながら、それと同時に二世帯住宅が抱える課題を解決する必要がありました。それは、親世帯が培ってきた近隣コミニュティの継続と親子間の良好な関係です。具体的な解決方法として、親世帯のキッチン・ダイニングの北面に大きな窓を設けました。窓とは採光や換気、景色を取り入れることが目的なのですが、ここでの窓の取扱いは、近隣へのコミニュティの意思表示です。この窓からは、近隣住人が行き交う姿が眺められたり、あるいは窓越から会話することが出来ます。昔から培ってきた近隣コミニュティを維持していく為にとても大切な役割を担っています。一方、親子間の良好な関係を築く為には、程よい距離感が必要になってきます。設計の中で程よい距離感という曖昧さを持つものを数値化し、図面に落とすことは大変な作業です。なぜなら、曖昧さを数値化するには、経験から得た感覚と俯瞰してみることが出来る客観性が必要だからです。これらのことを踏まえ、この二世帯住宅のリビング間は、中庭を挟み6mとしました。空間どうしの幅や高さ、窓の位置や大きさなど総合的に判断し、お互いの存在感を感じない距離を数値化した結果です。数値化することは、建築にとって大切なことであり、情緒的な感情論ではなく理論的な考え方を用いていかなければなりません。そのことによって、この二世帯住宅が抱える課題である近隣コミニュティや親子関係が、良好に維持されていくのだと考えています。